2011-01-01から1年間の記事一覧

ふるへっへんど(7)

Erpsig 訳:「ジャガイモのような」Erpsigは、SCAAフレイバーホイールで、香味上の欠点(Faults/Taint)のホイールに現れる、「謎の単語」です。というのは、この言葉は英語の辞書を探しても出てきません。SCAAのTed Lingleが言うには「ドイツのカッピング用語…

ふるへっへんど(6)

久しぶりでいきなりですが、ぶっちゃけた話。SCAAのフレイバーホイールは、それまで何の規準もなかったコーヒーの香味表現の世界に、「ものさし」となる語彙を示したという点で、大きな意義があったと思います。特に香りの表現について、それまでになかった…

ふるへっへんど(5)

Chocolaty- Bakers, Dark chocolate, Swiss (/Dutch *1 ) 訳語:チョコレート系:ベイカーズチョコレート、ダークチョコレート、スイスチョコレート(ミルクチョコレート) (/ダッチチョコレート) 多分、これまで訳されてきた中では誤訳が多かった箇所だ…

スペシャルティコーヒー大全、図の正誤(2)

p.40:アラビカ品種 ・【イエローカツーラ】【カツアイ】 矮性種(図中では通常の背丈の品種として表示)

ふるへっへんど(4)

Alkaline/Caustic 訳語:アルカリのような(アクのある苦味)/強アルカリの(えぐい苦味) SCAAフレイバーホイールでは、香りの表現については豊かで、比較的上手くまとまっているのに対し、味の表現のまとめ方が全般に前時代的……まぁ実際、1970年代の「味…

ふるへっへんど(3)

Creosol 訳語:クレオゾール 註:フェノールに似た薬品の匂い 「苦味」のホイールのところなので、「匂い」より「香味」の方がよかったかなぁ、と思ってたり…でも、フェノールもなんだけど、だからと言って「味を確認しよう」とか思われるとまずい(フェノー…

ふるへっへんど(2)

Hard/Soft 訳語:「きついすっぱさ」「やわらかい味」 直訳すれば「硬い」「軟らかい」、"Hard"には、厳しい/きついなどのネガティブなニュアンスも含まれ、"Acrid"同様に「すっぱさ」グループに位置づけられていることから、こちらを「きついすっぱさ」と…

ふるへっへんど(1)

SCAAフレイバーホイールの下訳段階での、ちょっとした裏話。 Acrid Taste/Aromaホイールのうち、Tasteのいちばん最初、「すっぱさ」グループの最初に"Acrid"が出てきます。今回、「いがらっぽいすっぱさ」という訳語が採用されてますが、これを単に「いがら…

発売日

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』、今日が発売日です。 #と言っても、一部の書店ではフライングで陳列してたところもあったようですが。

正誤

p.45の「焙煎アロマチャート」の化合物群名のいちばん上。△ アセトアルデヒド類 → ○ アルデヒド類なお、その下の化合物名の「アセトアルデヒド」は正しいです。 #細かいところだし放置してもいいかなぁ、と思わんではないけど、一応。 あと、ついでなのでち…

(いまさら訊けない)スペシャルティ? スペシャリティ?

#この辺りで、ちょっと趣向を変えて。 『田口護のスペシャルティコーヒー大全』が5/25に発売されるわけですが、本書のタイトルでは「スペシャルティコーヒー (specialty coffee) 」という表記が採用されてます。この「スペシャルティ specialty」という単語…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(10)

今回『田口護のスペシャルティコーヒー大全』に提供した画像を中心に、内容の一部を紹介してきましたが、ひとまず今回で一区切りとします。SCAAのフレーバーホイールの訳語(僕の下訳が採用されてる分)を含めた解説や、画像への追加が間に合わなかった情報…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(9)

提供した画像、最後になる3セット目は、「焙煎ダイアグラム」と銘打った一連の図です。その中から二枚だけ抜き出したサムネイルを右に示します。これも「コーヒー豆の焙煎」を科学的に捉えようとする、分子美食学的アプローチの一つとも言えます。 田口氏の…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(8)

提供した図版の2つ目は「フレーバー(アロマ/テイスト)チャート」…「焙煎による香味成分の変化」を大まかに知るための早見表です。コイツは、百珈苑の「コーヒー・味の化学」で、ほんのさわりだけ紹介してる図の、ほぼ全容に当たります。さまざまな食品・…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(7)

見本誌が手元に届いたので、改めて中身(田口氏の執筆部分)を読んでいるところ…。スペシャルティコーヒーという概念から始まり、個々の銘柄ごとの具体的な焙煎方法についてなど、田口氏「らしい」語り口で、判りやすく解説されており、非常に内容の濃い一冊…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(6)

昔、ウィキペディアに僕が提供した自作画像の一つに「コーヒーの主要栽培品種 (http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Coffee_Cultivars.png) 」というのがあります。実はこの図には、僕の手元で情報を追加・修正しながら更新…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(5)

本書の大きな目玉の一つ、「SCAAフレーバーホイール日本語版」について。 SCAAフレーバーホイール(The Coffee Taster's Flavor Wheel)はSCAAが作製した、コーヒーの味と香り(taste + aroma = flavor) の代表的な表現を、「フレーバーホイール*1」という形…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(4)

ちなみに僕は、1章と2章にいくつかずつ、図を提供してます。フレーバーホイールの用語の日本語訳と解説なんかにも加わりました。あとは田口氏と談話したときの内容が、本文中に何カ所か出てくるくらいかな? 基本的に、田口氏が自身の知識、経験と理論をわ…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(3)

章の構成を紹介します。 第1章 (知識編)スペシャルティコーヒーのすべて 第2章 (技術編)スペシャルティコーヒーの焙煎 第3章 (実践編)スペシャルティコーヒーの販売 SCAAフレーバーホイール日本語版 対談 スペシャルティコーヒーの未来を語る〜SCAJ…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(2)

『スペシャルティコーヒー大全』は、2003年に同じくNHK出版から出た『珈琲大全』の続編(?)という位置づけにあたるそうです。田口氏のコーヒー本には、柴田書店から出た『自家焙煎技術講座』や『コーヒー味わいの「こつ」』など多くの名著がありますが、『…

『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(1)

#ぼちぼち、情報を出してもOKということなので。 NHK出版から、『田口護のスペシャルティコーヒー大全』が発売されます。2003年に好評を博した『田口護の珈琲大全』の続編(?)です。僕も図版の提供や、SCAAフレーバーホイールの翻訳などで、参加させてい…