2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「マンデリン」の変遷

コーヒーの一大ブランドである「マンデリン」は、1841年に南タパヌリで強制栽培制度が導入されたときに生まれたものだと考えられている。これらのマンダイリン、アンコーラ・バタック族の土地では、後にミナンカバウ地方で行われた強制搬入制度よりも、むし…

北スマトラとコーヒーの歴史

スマトラ島北部のコーヒー栽培は、このミナンカバウから始まり、マンダイリン、アンコーラ、トバ地区へと徐々に北上し、最終的にはアチェ州中部のガヨ地区にまで広まった。これらの地域を理解するため、ここで少し、東南アジアの歴史に照らしながら紐解いて…

"All About Coffee"に見る、スマトラ産コーヒー

マンデリンは、古い文献でしばしば「最高級コーヒーの一つ」と記載されている。Ukersの"All about coffee"の初版(1922年)でもマンデリンについて、 "The best coffee in the world"; also the highest priced. と記している。このことは、今でも国内の評判…

マンダイリン・バタック族

このエピソード自体はともかくとして、マンデリンの語源が北スマトラの部族の名前から来ていることは確かだ。この部族は、北スマトラの内陸部に古くから暮らしている、バタック族(バタク族、Batak、Battak、Battas)と呼ばれる部族の、支族の一つであり、マ…

とあるエピソード

この部族の名前がコーヒーの名前になった経緯については、以下のようなエピソードが世界的に知られている。 第二次世界大戦の頃、インドネシアに駐留していた日本軍の兵隊の一人が、現地のコーヒーショップに立ち寄った。そのあまりの美味しさに、彼は思わず…

マンデリン:北スマトラのコーヒーの歴史

コーヒーの銘柄は数多くあるが、その中でも「マンデリン」は日本でのファンも多く、有名なものの一つだろう。しかし、その来歴を語ろうとすると、かなり込み入っている。 「マンデリン Mandheling」はスマトラ島北部で産生されるコーヒーに付けられた銘柄名…

「Giling Basah」:スマトラ式精製法

インドネシアのコーヒーを語る上では、品種もさることながら、その特殊な精製法も重要である。ジャワ島でロブスタにも水洗式精製を用いていることは上述したが、それ以外の島、スマトラ島やスラウェシ島などでは、世界的に主流な水洗式とも乾式とも異なる、…

現在のインドネシアの品種

インドネシアでは、現在も多くの種類の耐さび病品種が栽培されており、いわば「耐さび病品種の見本市」みたいな感じだ。これらの栽培品種は、大まかには5つに大別することが可能だ。 ロブスタ アラビカ ハイブリッド Sライン(アラビカxリベリカ交配種由来)…

ブラジルの「スマトラ」

紛らわしい話なのだが、コーヒーの品種を語るときに、上に挙げたスマトラ島の品種を「スマトラ」と呼ぶのは間違いのもとだ。「スマトラ」と、上記の「クラシック・スマトラ」は、厳密には異なる…というより、「スマトラ」はスマトラ島で栽培されている品種で…

クラシックスマトラ

インドネシア各地では元々ティピカが栽培されていたが、19世紀末のさび病の流行によって、また20世紀初めからロブスタを含む耐さび病品種への転換が進んだことで、それらの古い品種の多くは失われてしまった……と、そう考えられていた。しかし後になって、北…

インドネシアコーヒーの歴史と品種(3)

#3回くらいにまとめるつもりでしたが長くなったので、北スマトラの「マンデリン」については、また後日。 #今回は、新旧スマトラ対決?と、現在の栽培品種のまとめ。