『田口護のスペシャルティコーヒー大全』紹介(5)

本書の大きな目玉の一つ、「SCAAフレーバーホイール日本語版」について。


SCAAフレーバーホイール(The Coffee Taster's Flavor Wheel)はSCAAが作製した、コーヒーの味と香り(taste + aroma = flavor) の代表的な表現を、「フレーバーホイール*1」という形式で、カラフルに図示したものです。スペシャルティコーヒーのカッピングの表現の基本としても、しばしば利用されています。国内では、SCAAでの研修を受けるなどして入手して、壁などに飾ってる店もあるので、ひょっとしたら目にしたことがある人もいるかもしれません。

今回、編集担当されたNHK出版の佐野さんの尽力で、SCAA公認で掲載できることになりました。この図に、香味用語の日本語訳と簡単な解説を加えた「SCAA公認・日本語版」が本書に収録されます。


このフレーバーホイール、実はネットで検索しても( http://www.google.co.jp/search?q=Coffee+Taster%E2%80%99s+Flavor+Wheel )そこそこ画像が引っかかってはきます。例えば、sweetmaria coffeeのサイト( http://www.sweetmarias.com/tastewheel.html )などにも置いてあったりするのですが、よくよく見ると、表現の違う部分が混じった、バージョン違い?のもの*2が散見されます。SCAA元会長(現・上級顧問)、Ted Lingleによれば、これらはいずれも "It is not authorized."(=無許可掲載)だそうです*3。今回の件ではTedとやりとりしながら、こちらからも元々のフレーバーホイールにあったtypoの指摘などを行い、SCAAが改訂した「最新版」を掲載しています。

*1:似たイメージのフレーバー同士をまとめて、体系的に、ホイール状に図示したもので、通常は香りのイメージに合った色分けにして「視覚的にも」判りやすくしています。ビールやワインの香りの表現のために作られたものなども作られています。http://eblong.com/zarf/flavorwheel.html

*2:例えば、sweetmariaのものは右のホイールの"Floral"グループの項目や、"Dutch"(=ダッチチョコレート)という記載などが、最新の正規版とは異なる。

*3:まぁ「Fair useに当たる」という解釈で、アメリカで使う分には問題ないのかもしれませんが。