2014-01-01から1年間の記事一覧

パルプトナチュラルと半水洗式

ブラジルが、アメリカのクリーンカップ派の台頭のために行った対策は、この「ナチュラル」という言葉の普及だけではありません。そのもう一つの答えが「パルプトナチュラル」です。80年代以降、ブラジルは従来の乾式精製だけでなく、パルパー処理で果肉を除…

「乾式」の呼称 〜消えていく「非水洗式」の名

本書でも触れていますが、乾式はもっとも古くから行われており、コーヒー精製の「原型」と位置づけることができます。1850年代にカリブ海で、パルパー(パルプ除去器、果肉除去器)を用いる水洗式が考案されるまで、これ以外の精製法はありませんでした。 19…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (10)

補足解説3。精製法の話を少し。 近年、いちばん多様化が目覚ましいのが精製法ですが、この部分は一度きっちり整理させとく必要を前々から感じてました。いろんな本で精製法について書かれ、割と好き勝手に定義や分類がされていますが、精製法にはれっきとし…

耐病性ハイブリッド

1970年代、中南米のコーヒー栽培は大きな脅威に晒されました。コーヒーさび病の発生(『さび病パンデミックの衝撃』参照)です。これに対抗するための方法として、80年代後半から90年代にかけて、コロンビアやブラジル、そして中米諸国は相次いでアラビカと…

アラビカとロブスタ

「あれだけスペシャルティとか高品質とかと言ってきたのに、いまさらロブスタの話?」と思われた方もいたかもしれません。ゲイシャとかパカマラとか、いろんな品種が出てきた中で、なぜ今更アラビカとロブスタの比較なのか。 理由は三つあります。その一つ目…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (9)

補足説明その2。アラビカとロブスタ。コーヒーの品種と、成分や香味の関係についての話です。 右に示したのが、本書で用いられたものの原図にあたります(味の部分のみですが、本の中では香りと味両方のものが示してあります)。これも原図では結構線が入り…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (8)

『コーヒー おいしさの方程式』。よく行く書店でも見かけるようになり、おかげさまでアマゾンの売り上げランキングでは「グルメ一般」部門で1位になるなど、好評をいただいています。 補足説明の第一弾として、最初のテーマは「テロワール」「ミクロクリマ…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (7)

全体像の話はこれくらいにして、そろそろ、つっこんだ「細部」の部分について紹介したいところですが、実際に発売された後から補足解説した方がよさそうなところも多いので、そこは後日やることとしましょう。 5年ほど前、私の友人の一人である、石光商事の…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (6)

「細部」を深く掘り下げつつ、常に「全体像」を見る。 これが本書全体を貫く姿勢でもあります。「科学的な視点から見たコーヒー」というのも、コーヒーの全体像から見るとその一面を見ているのにすぎませんし、私自身、普段から科学的な視点だけでなく、歴史…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (5)

前回(昨日)目次内容を紹介しましたが、「"From Seed to Cup" なんて大層なこと言ってるけど、別にこれまで他の人が出した本だって、生豆、焙煎、抽出くらいカバーしてるじゃない」と思われた方もいるかもしれません。その通りです。目次で内容を並べただけ…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (4)

#目次から、章立てを紹介します。 はじめに 序章 〜本書の流れ (From Seed To Cup) 第1章 コーヒー豆の基礎知識 1-1 コーヒーのおいしさとは 1-2 アラビカとロブスタ 1-3 コーヒーの栽培 1-4 果実と熟成−味と香りの関係 1-5 精製−味と香りの関係 第2章 コ…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (3)

#表紙を紹介 もともとこの企画は当初、「コーヒー大全3(仮)」というコードネーム(?)でスタートしました。版型の変更や書店での混乱を避けるためなどいろいろな要素を踏まえた結果、この『コーヒー おいしさの方程式』という書名になりましたが、最後の最後…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (2)

2011年に出た『田口護のスペシャルティコーヒー大全』(以下 SP大全)は好評を博しており、日本だけでなく台湾(繁体)、韓国、中国(簡体)でもそれぞれ翻訳されています。また先日、二分冊化した電子書籍版も発売されました。 通常書籍版 田口護のスペシャ…

『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (1)

#まずは告知カフェバッハの田口護氏と私の共著による本が、NHK出版から1月に出ます。コーヒー おいしさの方程式作者: 田口護,旦部幸博出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2014/01/16メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る#奥付…