2013-06-03から1日間の記事一覧

「飲むコーヒー」はじまりの仮説:利用の拡大と「コーヒーのスープ」

無政府状態となったザビードで、飲酒など明らかな破戒行為に手を染める者が増えていく中、さすがに酒を飲むことはためらわれても、当時まだ違法とははっきり決まっていなかったカートやコーヒーなどに手を伸ばした者は、そこそこの数がいただろう。イエメン…

無法化するザビード

ザビードが無政府状態になったことは、同時に以下の三つのことをもたらしたと考えられる: (1)飲酒や賭け事など破戒的行為の横行、(2)ザビードから逃げ出す貧窮民の発生、(3)スーフィズムの台頭 である。 この当時の社会秩序を形成する上でイスラームの教義…

ザビードの衰退

1442年、ラスール朝最後のスルタンが亡くなったことで、その後継者争いが始まった。これがザビードに与えた影響は甚大だったと言える。この年、タイッズで真っ先に後継者の名乗りを上げた王位請求者ムザッファルに対して、アビードたちの一部は王位請求者ア…

「飲むコーヒー」はじまりの仮説:コーヒーノキとカフワの始まり

カートや、コーヒーの実や種、葉などを嗜好品として利用する風習は、遅くとも15世紀初頭までにはエチオピアからイエメンへ本格的に伝来した。この利用を初期に牽引したのは恐らくザビードに暮らすアビード(エチオピア起源のザビードの奴隷階級)たちだろう…

「ザビード/ウサブ伝来説」

実際のところ、イエメンのどこでカフワやコーヒーの利用が始まったのかはわからないのが現状だ。ザブハーニーによるアデンでの公認と飲用の記録が、文献上に現れる最初のものであるが、この文献は同時に彼以前からの利用者がいたことも示唆している。一方、…

はじまりの物語 (11)

おそらく15世紀の初め頃には、イエメンでコーヒーの実や種子の嗜好品的な利用と、初期のカフワ(カートやコーヒーの葉から作られる)の飲用が始まっていたと考えられる。そしてそれは15世紀半ばにかけて広まり、アデンのムフティーであったジャマールッディ…