セントバーナード x ダックスフント = ?

各国に広まったマラゴジッペから、いくつか新しい品種も作られている。マラゴジッペはどうしても背丈が大きくなるため、カトゥーラ系の矮性品種と交配することで、樹の大きさを小さくしたものが作られた。

そのうち、もっとも有名なものが、エルサルバドルでパーカス(Pacas)と交配して1958年に作られた、パカマラ (Pacamara) だろう。この他ニカラグアでは、カトゥアイと交配したマラカトゥ (Maracatu, マラカツ)、カトゥーラと交配したマラカトゥーラ (Maracaturra, マラカツーラ)も作製されている。

いずれもマラゴジッペの特徴である生豆の大きさはそのまま*1で、樹高だけを縮めることに成功しているようだ。


パカマラは主にエルサルバドルで栽培されているが、周辺の中米諸国にも広まりつつある。近年は各地のカップオブエクセレンス で上位に入賞することが多く、注目されている品種と言っていいだろう。

パーカスが(恐らくカトゥーラと同じ由来で)ブルボン系、マラゴジッペがティピカ系なので、いわゆる「二大品種」の交配で生まれた、という点ではムンド・ノーボやカトゥアイなどと共通点があると言えるかもしれない。ただし「親」が同じ系統でも、その子孫の性質が同じになる、というわけではない。
ブラジルのムンド・ノーボやカトゥアイが、いわゆる「コモディティ」としての量産を目指したものだとするならば、それに対してパカマラは「スペシャルティ」指向の品種だと言えるのかもしれない。

*1:ただし以前、カフェバッハでパカマラの生豆を見せてもらったがあるのだが、そのときは「一本の木から、大きい豆と通常サイズの豆が半々ずつ取れる」ということを聞いた。以前、エルサルバドルのピンクブルボンについても考察したが、ひょっとしたら同国の品種では、まだ優性ホモで固定されておらず、ヘテロのものが混じっているのかもしれない。マラゴジッペの遺伝子Mgは完全優性ではあるが、ヘテロのMgmgの場合に(DNAメチレーションなどによる)枝変わりが発生している可能性があるかもしれない(と、僕の植物学の師匠であるYz先生が、その可能性を指摘してくれた ^^;)