Q.夏胞子って何?

A. サビキンの仲間が作る、胞子のタイプの一つです。


サビキンの仲間は独特の生活環(ライフサイクル)を持っており(上述の筑波大のサイトを参照)、そのステージに応じて何タイプかの胞子を作ります。コーヒーさび病が感染するとき主な役割を担うのは、夏胞子(uredospore)と呼ばれるタイプの胞子です。夏胞子は、サビキンが無性生殖で増えるための胞子(無性胞子)の一種で、生長していくと元の菌と全く同じ遺伝子を持ったもの、いわゆる「クローン」になります。


コーヒーさび病菌の夏胞子は、「スパイクの付いた木靴」と形容される、サビキン類の中でも変わった、独特の形をしているのが特徴です(右写真 *1)。片側が平たく、片側が丸くなった半球状で、丸くなっている側に多数のトゲトゲがあり、このトゲで葉などに強く付着すると考えられています。発病した一本の樹には、数億から数十億個の夏胞子ができると言われます。

*1:Carlos Roberto Carvalho, Ronaldo C. Fernandes, Guilherme Mendes Almeida Carvalho, Robert W. Barreto, Harry C. Evans (2011): Cryptosexuality and the Genetic Diversity Paradox in Coffee Rust, Hemileia vastatrix. PLoS ONE 6(11): e26387. doi:10.1371/journal.pone.0026387 クリエイティブコモンズ-表示 2.5