Q.発病するとどうなるの?

A. 菌が葉で増殖して新しい胞子を作り、その葉は最終的には枯れ落ちます。


コーヒーさび病菌の胞子がコーヒーノキの葉に付着すると、裏側にある気孔の部分から菌糸を伸ばして、葉の組織内部に侵入します。菌糸は細胞の隙間だけでなく、細胞の中にまで侵入しながら繁殖します。菌が増殖すると、葉の裏に直径1-3mmほどの黄色みがかった斑点が現れだしますが、この段階ではまだ変化は比較的小さくて見た目ではわかりにくく、また他の病変などとの見分けも付きにくいです。



菌の生育に適した温度(20-25℃)で湿度の高い状態が続くと、葉(特に気孔部分)の外側に菌糸の一部が飛び出して、その先端にオレンジ〜黄色の夏胞子を付けます。このため、さび病変は葉の表側より、気孔のある裏側に強く現れます。大きいもので直径1-2cm程度の「さび病変」が、気孔部分を中心に、いくつも斑点状に現れます。「さび病」の名前の通り、まるで鉄に赤サビの粉が吹いたように見えます(右写真・上 *1)。一つの菌糸の先端(夏胞子堆)には約15万個の新しい胞子が作られており、生育に適した環境では、胞子が付着してから新しい胞子が出来るまで一ヶ月程度だと言われています。


さび病変に当たる部分の葉の表側には斑点が生じ、さらに病気が進行したものでは、葉の表側にもさび病変が現れます。病変は、葉の先端や周辺部から始まることが多く、最終的には葉全体に病変が広がって、葉は枯れて葉柄の部分から落ちます。生育に適した環境では、さび病は通常、下の方の枝から上へと進行しながら樹全体に広がるため、最後にはしばしば全部の葉が落ち、幹と枝だけ残った「丸裸」の状態になります(右写真・下 *2)。枝や幹、実の表面にも斑点状の病変が出現することがありますが、葉以外の箇所ではさび病変までは見られないようです。

*1:Carlos Roberto Carvalho, Ronaldo C. Fernandes, Guilherme Mendes Almeida Carvalho, Robert W. Barreto, Harry C. Evans (2011): Cryptosexuality and the Genetic Diversity Paradox in Coffee Rust, Hemileia vastatrix. PLoS ONE 6(11): e26387. doi:10.1371/journal.pone.0026387 クリエイティブコモンズ-表示 2.5

*2:Carlos Roberto Carvalho, Ronaldo C. Fernandes, Guilherme Mendes Almeida Carvalho, Robert W. Barreto, Harry C. Evans (2011): Cryptosexuality and the Genetic Diversity Paradox in Coffee Rust, Hemileia vastatrix. PLoS ONE 6(11): e26387. doi:10.1371/journal.pone.0026387 クリエイティブコモンズ-表示 2.5