はじまりの物語 (1)

(「モカの通った道」 http://d.hatena.ne.jp/coffee_tambe/20100527 の、いわば前章。非定期にぼちぼち続ける)
コーヒーの「はじまり」については、いくつかの仮説が広まっている。例えば、有名なヤギ飼いカルディの伝説やシェーク・オマールの伝説、シェーク・ゲマルディンの伝説の三つは、その中でも古くから広まっていたものである。これらの仮説の考証については、山内秀文先生の「解析:コーヒー発見/仮説と伝説(2)三大伝説」(辻調おいしいネット/カフェマニアックス)に譲りたい。ここで言う「三大伝説」の一つ、「シェーク・ゲマルディンの伝説」は、その記述から見てもいちばんもっともらしい、という山内氏の意見に私も同意である。


我々人類が実際にコーヒーを利用するようになった、「本当のはじまりの地」がエチオピア西南部であろうことは、植物分類学的、分子生物学的考察と言語文化的考察から、ほぼ間違いがないと言える。しかし、ゲマルディン以前の、エチオピアでの利用についての考証は少ない。結論から言うと、おそらくきちんとした答えは出ない類いの問題であろうことも、山内氏の意見に同意する


ただまぁそれだけだとなんなので、できる範囲でもう少し考察していってみよう。