その他、細かいところ

「クロロゲン酸は1948年に発見され」
実際に発見されたのは1837年です。RobiquetとBoutronが報告した "Über den Kaþee von Robiquet und Boutron." Ann Pharmacie 23:93–95 (1837)が、その最初の記述だとされています。ただしクロロゲン酸(Chlorogenicsäure)の語を最初に用いたのはPayen (1846) です。おそらく、1948年に発表された論文 http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ac60019a007 を最初の報告と勘違いしたことによると思います…僕も以前、これが最初だと勘違いしてたような記憶が。
「浅煎りの方がカフェインが多くて朝の目覚めに」
バリスタの方が説明してましたが、未だにこんな説明をされるようでは困ります。浅煎りと深煎りとでのカフェイン量は「ほとんど差がない」と説明するのが正しいです。深煎りにしたときに減るカフェインの量は、たかだか数%程度にすぎません…つまり「一杯当たり100mg」と言っていたのが「一杯あたり97mg」になるとか、そういうレベルの違いです。その程度の違いなのですから、目を覚ます働きとかに差はでません。特に番組の後半では妊娠中への注意などを喚起していたのですから、妊婦さん方が真に受けて「深煎りならカフェイン少ないはずだから」と過剰摂取するリスクにつながりかねない、危険な説明です。
「コーヒーを飲むとお通じが良くなる?」
メール/FAXでの質問で、野田先生は「むしろ便秘になるんじゃ…」と答えてましたが、実際にお通じが良くなる人がいるという報告が出ています(下記の文献)。いわゆる「介入試験」と呼ばれる、実際にヒトに飲ませたときの影響をみた実験ですが、被験者の約30%で大腸ぜん動運動の亢進が見られるという結果が報告されました。この作用はヒトによって、出たり出なかったりするものだと考えられます。またデカフェでも作用が見られることから、カフェイン以外の何らかの成分によるものと考えられますが、その作用本体は判っていません。