コーヒーノキの起源
90年代後半以降の論文を読みあさってます。2006年のDavisによるCoffea属の再分類で随分とすっきりした感がありますが、やっぱ分岐した年代までは予想が出来ないなぁ。
1982年にLeroyが提唱してた、コーヒーノキのゴンドワナ植物説については、インドマイソール地方のアラビカの起源や、マダガスカル野生種がアフリカ起源であることが近年提唱されたことで、ほぼ否定されてきてたと思ったのだけど、Psilanthus属の再分類で、少なくともコーヒーノキの直近の祖先がゴンドワナ植物である可能性が再び持ち上がってきてるようで。つっても、Psilanthus属の分類自体が今後変動する可能性もありそうなので、まだ断定はできなそうな感じではあるけれど。
以下簡単なメモ。
- コケ類→シダ植物→裸子植物、を経て、ジュラ紀に被子植物が出現し種類が増える。
- ジュラ紀初期にゴンドワナ大陸の分裂が始まり、インド亜大陸がアフリカから分離する(マダガスカルは当初インド寄りだったと言われる)
- おそらく、その頃までにPsilanthus属がゴンドワナ大陸のアフリカ〜マダガスカル〜インドを含むエリアに出現。
- その後完全にアフリカ大陸が分離した後で、おそらくは西〜中央アフリカあたりでCoffea属の先祖が出現。
- Coffea属は分岐しながら、中央アフリカ、東アフリカに広がっていき、それぞれのエリアに適応して種が分岐する。その一部はマダガスカルにまで移入し、そこで独自の進化を遂げる。
- 西〜中央アフリカのカネフォーラ種(またはその類縁種)と、中央アフリカのユーゲニオイデス種(またはその類縁種)が、ビクトリア湖北西部(スーダン/エチオピア南西部)で「再会」し、そこでたまたま複二倍体を形成。これがアラビカ種の祖先になる
- アラビカ種がエチオピア方面に分布を広げ、そこの人々に知られることになり、以下省略。
なおマダガスカルにはPsilanthus属は現存しておらず、また現存する野生種は分子生物学的手法からアフリカ起源だと考えられているので(コモロ諸島やモーリシャスにも固有種があるし)、比較的新しく入ってきたものという辺りは、問題ないと考えられる。