FSA UKがカフェインの流産リスクについての妊婦推奨値を引き下げ

http://www.food.gov.uk/news/pressreleases/2008/nov/caffeineadvice
某所から、コーヒーと流産リスクについて問い合わせを受けたときに実は漏れ聞いていたのだけど、イギリス食品基準庁がこれまで「1日300mg」としていた、妊婦の摂取量の目安を「1日200mg」に引き下げたことを発表してます。


日本語の文書としてはこの辺り↓が詳しいです。
http://www.watarase.ne.jp/aponet/news/081101.html

そこにも書いてありますが、「これまで300mg飲んでた人も心配しなくていい」とか、疑問視するコメントもすでにFSAには寄せられてる模様で。


個人的には、まぁFSAの立場も判らないではないけど、勇み足じゃないかなぁ、というのが正直なところですね。詳しくは以前公開した文書(↓)にも書いていたのだけど
http://www.imaginet.ne.jp/~tambe/coffee/maternalCaffeine.html
まず「200mg」の根拠になってるのは、今年1月のWengらのアメリカでのコホートなんだけど、これを「200mg以上の、どの段階でのボーダーラインにするか」という細かい判断基準にするのは、ちょっと力不足なんじゃないの、というところがあったわけで。いやまぁ、これ単回の調査結果だけから判断するなら「200mg」と言わざるを得ないけど、現状、他の疫学調査の結果を否定して基準を変えるだけの根拠になるか、とまで言われると、ちょっと微妙だったり。今回のがもっと細かく、0/100/200/300 mgなどのように、用量を細かく見たデータであったのならば、まだ説得力があったのですけどね。


それから、FSA UKの指標では「フィルターコーヒーならカフェイン量140mgなので1杯」としてるけど、この換算も正直微妙というか…そもそもWengらの調査では「コーヒー1杯は100mg」としてかなり大雑把に換算してるのであって、そこまで数値の正確性を追求することはできない、というのがもっとも正しく、種類を指定せずに「コーヒー2杯」と言う方がまだ正しい。


まぁ、直接の関係はないのだろうけど、どうも英国あたりでは、このあたりの健康情報の扱いが最近やたらナーバスになってるような印象がありますね。ウェールズの方では、「児童は、コーヒー・紅茶に砂糖を入れないように」「児童はケチャップやマーマイトは禁止」という指示が出されたりして(その後、「砂糖は2杯まで」に変更された模様だけど)。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20081016_school_ban_sugar/
http://news.bbc.co.uk/1/hi/wales/south_east/7669029.stm