事故米とカビ毒とコーヒー

事故米のニュース関連でアフラトキシンが世間の注目を集めてるようです。アフラトキシンといったら、食品汚染系のカビ毒の代表なんですが、カビ毒は実はコーヒーでも問題になったりするわけで。そっち方面の規制に飛び火してくるんじゃなかろうかと危惧してたり。
コーヒーの場合、やはり生豆の保存が悪いときに生えるカビによってカビ毒による汚染が生じる場合があります。アフラトキシンよりはオクラトキシン(アスペルギルス・オクラシウスAspergillus ochraceus)によるケースが多いかな? 基本的にどちらも発癌性のある物質なんで、食品中の濃度についての規制が存在するわけです。

オクラトキシンなんかは焙煎や抽出の過程でも完全には分解されないし、ここ数年の間にも市場に出回ってるインスタントコーヒー中のオクラトキシン濃度を測定したような論文とかは結構出てます。ただまぁ結論から言うと、少なくとも過去15年間に日本で出回ったコーヒーに含まれていた程度の濃度レベルであれば、コーヒーに含まれているこれらのカビ毒の発がん性は全く気にする必要がないと、かなり強い根拠を持って言えます。

というのは、この間、日本全国の医療機関が参加している厚労省疫学調査プロジェクトが行われていて、その結果、コーヒーを飲む日本人については

  1. 女性での大腸がん発症リスクが低下
  2. 子宮体がん発症リスクが低下
  3. 肝がん発症リスクが低下
  4. 膵臓がん発症リスクは変化なし

ということが報告されているからです。

まぁもちろん、カビ毒のモニタリングそのものは今後も続けていくことは重要で、基準値を大幅に超えるようなコーヒーが万一出てきた場合には排除しなければなりません。しかし、少なくとも現在の基準値は妥当なものであり、今回の事件を契機に基準値の見直しを図る必要というのは、少なくともコーヒーについては存在しないと言えるでしょう。