2010-05-17から1日間の記事一覧

スペシャルティ vs コモディティとしての耐病品種

しかし一方で、この「ハイブリッド」の普及は、アメリカや日本、ヨーロッパなどの消費国からは必ずしも歓迎されたとは言いがたいものだったのも事実だ。いくら戻し交配して「元のアラビカに近づけた」とは言っても、若干の香味上の違いは生じたし、それらは…

続いていた探索とティモールの奇跡

話は50年近く遡って1925年。インドで、Coffee Board of Indiaが設立された。この当時、既にロブスタに対する評価は地に落ち、ニューヨークでの取引も1912年には停止していた。これらの背景から、すでに「さび病が蔓延していた」インドで、耐さび病品種の探索…

第二次さび病パンデミック

さて東南アジアが苦渋の決断をした一方で、その恩恵を受けた地域がある。ブラジルをはじめとする中南米諸国だ。19世紀末から20世紀初めにかけて、東南アジアからアフリカへと被害が拡大していったが、中南米から見るとそれは大洋の向こうの、まさに「対岸の…

ロブスタ:「苦渋」の選択

セイロンやインドでのさび病の蔓延に対し、当然ながら現地およびイギリスは何とか食い止めようとした。当時のイギリスで植物疫病研究の第一人者であった、マーシャル・ウォード (http://en.wikipedia.org/wiki/Harry_Marshall_Ward)も現地に乗り込んだ。ウォ…

第一次パンデミック

コーヒーさび病が最初に出現した記録が残っているのはケニアの奥地、ビクトリア湖周辺である。そこは奇しくも、カネフォーラ種(ロブスタ)とユーゲニオイデス種が出会ってアラビカ種の祖先が生まれたと考えられている地であり、またロブスタが初めて目撃さ…

コーヒーさび病とは

まずは、この「コーヒーさび病」について概要だけ説明しておこう。「コーヒー葉さび病」、"coffee rust"、"coffee leaf rust (CLR)"とも呼ばれる。「コーヒーさび病菌」Hemileia vastatrix (ヘミレイア・ヴァスタトリクス http://en.wikipedia.org/wiki/Hemi…

さび病パンデミックの衝撃

宮崎で発生した口蹄疫が、過去に例をみないほどの拡大を見せている。現地の畜産業に対するダメージは計り知れないし、ネットの一部では「日本の畜産業は終わった」と言う声すら聞こえてくるほどだ*1。農業において、このような伝染病はしばしば致命的なもの…